インスタントラーメンやポテトチップなどを製造する食品工場では、大量のパーム油を使用しているが、多くの場合廃油回収業者に引き取ってもらっている。しかし、最近の原油の高騰から工場内で燃料として再利用することが検討される事例も増えている。パーム油は固化しやすいのでBDF化する方法は必ずしもよい利用法とは言えない。そこで、パーム油を直接メタン発酵処理してバイオガスに転換すれば、従来のガス器具を使って燃料としての利用が可能である。本研究では、メタン発酵槽内に直接油脂分解酵素リパーゼを投入して、パーム油の発酵を行った。その結果、酵素を添加しないものに比べて、発酵速度はかなり増加した。また、パーム油単独でのメタン発酵処理を行う場合には、消化液の発生は極めて少なく、消化液貯留槽を持たないシステムを作ることも可能であることがわかった。