抄録
我々の経済社会における物質ストックを把握する意義について検討するとともに、国レベルの物質フロー勘定体系と整合した物質ストック勘定体系の構築に向けた基礎的検討を行った。物質ストックを把握する目的の第一は、ストック量とフロー量の整合性を検討し、我々の経済社会における物質代謝をより正確に理解することにあると考えられた。それは、潜在的な廃棄物や、潜在的な資源の見積をより的確なものにする。さらに、環境中に排出されていると考えられる物質や他国に輸出されていると考えられる物質が同定されたとすれば、それは、その環境影響や資源ロスについて検討する上での基礎情報になる。また、現状の国レベルの物質フロー勘定において物質ストックと勘定されるものとの整合性を保つ観点からは、物質ストックを分類して把握することが有益と考えられた。特に物質の種類、利用・存在の形態による分類は不可欠と考えられる。