抄録
都市ごみ焼却飛灰のセメント固化物からの重金属の溶出を抑制するために,セメント固化物を二酸化炭素に曝露させて中性化処理することを試みた。粉砕したセメント固化物は,二酸化炭素との曝露により1時間でpHは11.5から9まで急激に低下したが,その後は緩やかに低下し,24時間後にはpH 8になった.固化物についてはフェノールフタレインを指標として,着色部と無着色部をそれぞれ測定することにより,経時的な中性化の進行具合を評価した。中性化深さは二酸化炭素の曝露時間の1/2乗に比例しており,拡散現象によって中性化が進行していることが確認できた。ただし,測定された中性化深さには試料によってばらつきがあり,試料の空隙率などについてさらなる検討が必要であると思われた。