抄録
近年、ごみの有料化が推進されているが、戦後から現在に至る有料化と無料化の歴史については総括されないままである。本稿では、こうした総括の前提となる、戦後の家庭系ごみの手数料徴収都市数の変遷について検討した。汚物清掃法時代・清掃法時代に実施された6つの手数料徴収状況の調査資料と1976年以降の廃棄物処理事業実態調査のデータを利用して、戦後の家庭系ごみの手数料徴収都市数の変遷を検討した結果、家庭ごみ収集に対して手数料を徴収していた都市は、1941年以降約20年間で約5割まで大きく増加したが、1960年代後半以降の10年間で約1割まで大きく減少し、70年代、80年代とそのまま推移したことが明らかとなった。90年代以降は再び増加傾向にあり、2000年には2割弱まで増加した。