抄録
北陸地方の気候は年間降水量が多く、さらに夏期よりも冬期の方が雪による降水量が多い特徴を有する。このような気候が管理型産業廃棄物最終処分場の安定化に及ぼす影響を把握するため、福井県内の処分場において、埋め立て時期が異なる複数区画の浸出水水質を調査した。浸出水に含まれる各イオン濃度は埋立区画により異なり、その割合は安定化による無機塩類の溶出と生物分解を反映していた。また降水量が増加する冬期は全体的なイオン濃度の低下がみられ、浸透水量増加による希釈効果が原因と考えられた。さらに一部の区画では浸透水を通過させやすい短絡が存在し、冬期には有機物分解由来のイオンの割合を低下させるなど、浸出水水質に大きく影響することが分かった。