抄録
住民のごみ分別行動は市町村が定めたごみの分別制度のあり方に多大な影響を受けると考えられる。住民は、自分たちの地域の制度をいかに評価し、制度は彼らの行動にいかなる影響を与えるのか。本研究では、特徴的なごみ分別制度をもつ仙台市、名古屋市、水俣市の3市に焦点をあて、これらの点について検討する。分析の結果、分別数が多い制度の市に住む住民ほど、コストを感じているが、それと同時にその分別制度を優れていると評価する傾向がみられた。また、分別の種類が少ないよりは多いほうが分別の実行率が高くなるが、ある程度の分別数になると、分別行動の実行率にはそれほど違いがみられないことが明らかになった。さらに、環境問題に対する関心は、中程度の分別数の場合のほうが、コストを克服する可能性がある。しかし、環境問題に対して高い意識づけを行うという観点からみると、分別制度が多いことが、一定の役割を果たす可能性はあるといえるだろう。