抄録
電線・ケーブルの絶縁体として使用されるシラン架橋ポリエチレンは熱可塑性を持たないためにマテリアルリサイクルが困難である。これまでに、超臨界アルコールを用いてシラン架橋ポリエチレンの架橋部分であるシロキサン結合を選択的に分解する検討を行ってきた。今回、超臨界流体用の連続処理装置として押出機を用いた新規プロセスによるシラン架橋ポリエチレンのリサイクル処理について報告する。このプロセスで得られたリサイクルポリエチレンのゲル分率は、325℃~340℃の処理温度でほぼ0%であった。これよりシロキサン結合はほぼ分解していることが示唆された。このリサイクルポリエチレンを絶縁体として使用した600V CVケーブルは外観が良好であり、規格(JIS C 3605)を満足することが分かった。これらの結果から、超臨界アルコールによりシラン架橋ポリエチレンを電線・ケーブルの絶縁体にリサイクルできることが示唆された。