抄録
本研究では、薬剤を使用せずに、重金属を含有した硫酸系の廃水から電気分解反応を利用して鉄や亜鉛等の重金属類を回収した廃水を逆浸透膜処理で浄化し工業用水として、さらに濃縮した水は硫酸として再利用するシステムを構築するための基礎実験を行った。筆者らは、フローセルで廃水を連続的に電解処理し、その最適電解条件は、電流密度:106A/m2、流量:20ml/min(8.1クーロン/ml)であった。Ci を第i槽における一定時間経過後の鉄濃度とした場合、各槽の時刻tにおける鉄濃度は、基本式:C = Ci + ( C0 - Ci ) exp(-kt)で表現され、最適条件でのkの値は全槽とも約0.06となった。また、電解処理済み水を逆浸透膜処理して得られた浄化水は、工業用水として再利用できる水質基準であったので、本研究で構築を目指すシステムは有効的であると結論付けた。