抄録
本研究では,大規模水害として米国ハリケーン・カトリーナ災害を取り上げ,水害廃棄物処理について,ルイジアナ州環境省に対するヒアリング調査を行った。ハリケーン・カトリーナ災害によるルイジアナ州の水害廃棄物発生量は2,680万tとなり,災害廃棄物量原単位という観点からは,地震災害による解体家屋で発生する災害廃棄物量と同程度の水害廃棄物が発生したといえた。また,米国においては,Debris Management Guideとして,災害廃棄物処理業務が体系的に示されており,わが国においても大規模水害時の水害廃棄物対策においては,水害廃棄物処理に関する暗黙知を形式知とし,災害対応の実践的,体系的な知見の蓄積や知識の共有を図るとともに,事前に体系的な水害廃棄物処理マネジメントシステムを構築しておくことが必要である,といえた。