抄録
現在,米ぬかは年間約100万t排出されているが,有効な利用方法は確立されていない。本研究では水熱処理を用いることにより機能性物質の抽出率の向上を期待し,脂質,糖質,及び糖脂質の抽出を行い,各成分に対して有効利用方法を検討した。水熱処理は120℃,1MPa,及び190℃,2MPaで行った。未処理,及び水熱処理済み試料に対してエタノール抽出,水抽出を順次行い脂質と糖質を分離した。残渣にはさらにクロロホルム抽出を行い,糖脂質成分を抽出し,さらにオープンカラムクロマトグラフィーを行い,糖脂質の分離を試みた。未処理,及び120℃水熱処理済み米ぬかの脂質,及び糖質はそれぞれ燃料原料となる可能性が示唆されたが,190℃水熱処理済み米ぬかは過分解を起こしてしまい有効利用できる物質量が減少してしまった。糖脂質は未処理,及び120℃水熱処理済み米ぬかから検出された。しかし,水熱処理により生成したオリゴ糖類などの影響により完全に分離できなかった。