日本透析医学会雑誌
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原著
血液透析患者高アルカリフォスファターゼ血症の小腸型,骨型,肝型の分析
今中 俊爾柴崎 泰延
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2021 年 54 巻 3 号 p. 131-139

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抄録

血液透析患者の血清アルカリフォスファターゼ(ALP)アイソザイム(ノイラミニダーゼ,プロテアーゼ処理)の測定により,小腸型の占める割合が多いことを認識し,骨型,肝型とともに分析した.78例の総ALPの経年的変動(12~65か月)では,高ALP血症は52.6%を占めた.小腸型は,血液型による検出の違いや食後の変化があるが,血液透析例では2~50%を占めた.小腸型は,検討した23例ではB型,O型の16例中15例の高頻度に出現した.小腸型の臨床的意義はないが,小腸型のみによる高ALP血症が存在した.骨型は高齢女性に多く存在した.肝型と思われた症例も,骨型,小腸型を含む症例がみられた.同一症例の同等な高ALP血症でも,時期により異なった分画により構成された.また,非小腸分画が基準範囲でも,肝型,骨型の検討を要する症例がみられた.今後,ALPは小腸型の検出性の問題から測定法が変更されるが,3分画の評価は重要である.

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© 2021 一般社団法人 日本透析医学会
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