抄録
近年、資源の枯渇、最終処分場の逼迫から、循環型社会を指向した法律体系が整備され、各種廃棄物のリサイクルが推進されている。溶融スラグについても、土木資材、建設資材としての有効利用が望まれており、2006年7月、コンクリート、アスファルト用骨材としての利用基準がJISとして定められた。
溶融スラグは、炉外排出と共に急冷されるため、一部に微結晶が存在するものの、大部分がガラス構造(不規則網目構造)を有している。したがって、溶融スラグからの鉛溶出現象を解明することは、多成分系酸化物ガラスの化学的耐久性、つまり19号含有試験については耐酸性、46号溶出試験については耐水性を解明することに他ならない。しかし、廃棄物溶融スラグの構成成分と化学的耐久性との関係について系統的な調査はなされておらず、未解明な部分が多い。そこで、本報では、溶融スラグの構成成分、特にアルカリ金属(Na)、アルカリ土類金属(Ca)、ハロゲン(Cl)が鉛溶出に与える影響について調査した。