抄録
本研究では,(1)産廃スラグにフラックス(珪砂+Na2CO3)を様々な割合で加えて,溶融・水砕した“希釈スラグ”の合成実験と,(2)試薬のPbOとフラックスからPb/Si比の異なる溶融ガラス(Pbガラス)の合成実験を行った。これらに対する赤外(IR)吸収スペクトの測定結果から,重金属元素(特にPb)濃度の増加と,産廃スラグの骨格を構成する-Si-O-Si(Al)-結合の伸縮振動に相当する吸収ピークのケミカルシフトとの間に,明瞭な相関関係が確認できた。加えて,(3)pH=2~12における重金属元素(特にPb)の溶出実験からは,骨格を構成するSiの溶出と調和的に重金属元素が溶出することが確認できた。以上の実験結果は,産廃スラグ中の重金属元素が,骨格を構成する-Si-O-Si(Al)-結合のSiと同型置換し共有結合的に強固に結合していることを示している。