抄録
ウキクサ根圏における各種界面活性剤分解作用を検討した。ウキクサの根には高密度に多くの微生物が付着しており, 1010 CFU/g-roots d.w. もの生菌数が得られた。また, これら微生物集団は多様性に富み, 環境水中の優占種とは異なるものが優占化していることが示唆された。ウキクサ―微生物共生系を各種界面活性剤で馴化すると, 根に付着する微生物の作用によりいずれも速やかに分解除去され, この作用は連続バッチ栽培においても安定に維持できることが示された。さらに, このような根圏における分解作用は, 植物からの酸素供給により活性化されることが明らかとなった。このように, 浮遊生の水生植物栽培系においても根圏に高い化学物質分解能力が備わっており, 微生物相あるいは植物と微生物の相互作用を制御することにより高い浄化活性を発揮できることが示唆された。