日本水処理生物学会誌
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原生動物Monas guttula培養液から分離した細菌による藍藻毒microcystinの分解
藤本 尚志大野 直樹田中 邦宏楢原 暢大西 章博鈴木 昌治岩見 徳雄水落 元之稲森 悠平
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2007 年 43 巻 2 号 p. 99-111

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抄録
霞ヶ浦から分離し、Microcystis属を食物源として継代培養を行っている原生動物Monas guttulaの培養液からミクロシスチン分解菌を分離し16S rDNAの解析を行った。さらに分離した細菌についてミクロシスチン分解におよぼす温度、pH等の環境条件の影響について評価した。得られた知見は以下の通りである。1)分離したミクロシスチン分解菌2菌株(MG-15, MG-22)について16S rDNAを解析した結果、いずれもNovosphingobium属およびSphingopyxis属に近縁の細菌であることがわかった。2)MG-15株は30℃においてミクロシスチン-RR分解速度が著しく高まった。一方MG-22株のミクロシスチン-RR分解速度におよぼす温度の影響は小さかった。3)MG-15株、MG-22株いずれもアルカリ側のpH においてもミクロシスチン-RRを分解することが明らかとなった。4)MG-15株、MG-22株いずれもミクロシスチン-RR、-YR、-LRを分解することが明らかとなった。両株ともミクロシスチン-YR、-LRの分解速度に比べてミクロシスチン-RRの分解速度が高いことが明らかとなった。5)ミクロシスチン-LRの初期濃度17~917 μg・l–1において分解試験を行ったところ、すべての初期濃度条件で分解が起こり、初期濃度が高まるにつれて分解速度が高まることが明らかとなった。
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© 2007 日本水処理生物学会
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