日本水処理生物学会誌
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リアルタイムPCR法による構造の異なる担体を導入した高度処理浄化槽におけるリアルタイムPCR法による構造の異なる担体を導入した高度処理浄化槽における
中川 剛蛯江 美孝常田 聡松村 正利徐 開欽稲森 悠平
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2007 年 43 巻 3 号 p. 143-149

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抄録
本研究では、現場の高度処理浄化槽における3種類の生物担体に固定されたアンモニア酸化細菌と硝化特性との関係解析を行った。浄化槽A、Bの好気槽では、多孔質担体X、Yを用いた。浄化槽Cの好気槽では、中空円筒担体を用いた。10基の現場浄化槽(浄化槽A、BおよびC)におけるアンモニア酸化細菌(以下、AOB)の個体数をリアルタイムPCRによって約8ヶ月間モニタリングした。また、各浄化槽の処理性能を、1年間モニタリングした。水質分析の結果から、すべての浄化槽において、亜硝酸酸化反応および脱窒反応は律速段階とはなっていないことが示された。一方、本浄化槽においては、アンモニア酸化反応が窒素除去における律速段階となっていることが示唆された。また、リアルタイムPCRによるAOBの定量解析の結果から、多孔質担体は、中空円筒担体と比較してAOB個体数の保持に有効であることがわかった。さらに、本システムにおいては、AOB1菌体当たりにかかるNH4-N負荷を230 pg cell-1 day-1以下に抑えることが処理水NH4-N濃度を低く維持する上で重要であることが示唆された。これらの結果から、窒素除去性能の評価および生物学的窒素除去システムの設計において、AOB1菌体当たりにかかるNH4-N負荷が重要なパラメーターであることが示唆された。 本研究では、現場の高度処理浄化槽における3種類の生物担体に固定されたアンモニア酸化細菌と硝化特性との関係解析を行った。浄化槽A、Bの好気槽では、多孔質担体X、Yを用いた。浄化槽Cの好気槽では、中空円筒担体を用いた。10基の現場浄化槽(浄化槽A、BおよびC)におけるアンモニア酸化細菌(以下、AOB)の個体数をリアルタイムPCRによって約8ヶ月間モニタリングした。また、各浄化槽の処理性能を、1年間モニタリングした。水質分析の結果から、すべての浄化槽において、亜硝酸酸化反応および脱窒反応は律速段階とはなっていないことが示された。一方、本浄化槽においては、アンモニア酸化反応が窒素除去における律速段階となっていることが示唆された。また、リアルタイムPCRによるAOBの定量解析の結果から、多孔質担体は、中空円筒担体と比較してAOB個体数の保持に有効であることがわかった。さらに、本システムにおいては、AOB1菌体当たりにかかるNH4-N負荷を230 pg cell-1 day-1以下に抑えることが処理水NH4-N濃度を低く維持する上で重要であることが示唆された。これらの結果から、窒素除去性能の評価および生物学的窒素除去システムの設計において、AOB1菌体当たりにかかるNH4-N負荷が重要なパラメーターであることが示唆された。
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© 2007 日本水処理生物学会
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