抄録
浄化槽等の生物学的水処理システムに存在する原生動物が処理システムの有機物分解能に与える影響を解明することは、処理システムの改良や適正管理のために重要な知見をもたらすものと考えられる。そのため本研究では浄化槽から単離された原生動物繊毛虫類Colpidium sp.と細菌Enterobacter ludwigiiを用い、無機栄養塩培地にペプトンを200 mg・l-1となるように加えた改変Taub培地によりE. ludwigii単独培養およびE. ludwigiiとColpidium sp.との混合培養を行い、それぞれの個体数密度の経日変化および全有機炭素(TOC)、溶存態有機炭素(DOC)、懸濁態有機炭素(POC)の変化を比較した。その結果、実験開始後の2日間においては単独培養系でE. ludwigiiの平均個体数およびDOC減少量はそれぞれ3.9×108CFU・ml-1、22.3mg-C・l-1、混合培養系ではE. ludwigiiの平均個体数密度およびDOC減少量はそれぞれ2.9×108 CFU・ml-1、32.7mg-C・l-1となり、混合培養系は単独培養系に比べて細菌個体数密度が低いにも関わらずDOC減少量が高くなった。さらに混合培養系における単位POC当たりのDOC減少速度は単独培養系の場合の約130倍であることも示された。これらのことから原生動物は生物学的処理システムにおいて有機物分解能の飛躍的な向上に寄与していることが強く示唆された。