抄録
N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)は、公共水域や下水道などの水域に最も多く排出される有機化合物(PRTR:2007年度版)であり、その生物学的処理では窒素除去が大きな課題となる。本研究では、メッシュろ過バイオリアクターを用いてDMF、N-メチルホルムアミド(MF)、ホルムアミド(MF)の窒素除去特性について検討を行った。HRT=10日、窒素容積負荷を0.0192kg-N・(m3・d)-1とした。pH調整を行わなかったため、いずれの基質条件でもpH=3付近で安定し、メッシュろ過が安定しやすい酸性条件下を維持した。この条件においてTOC除去率は95%以上であった。窒素除去率は、基質に依存し、DMF系のKj-N除去率は95%であり、MFとFAの系では70%であった。T-N除去率は、DMF系では55%であったが、MF系では20%、FA系では10%と基質のC/N比に依存した。DMF系では好気条件下でもN2Oの生成がわずかに確認された。硝酸の還元はpH=3でも認められたが、中性領域において還元活性はむしろ低下した。しかしながら、広範なpH領域においてN2OからN2への還元が抑制されていることが認められた。