抄録
コンポストティーは植物病への対策としていろいろな場面で利用されているが、そのメカニズムはまだあまり分っていない。しかし、そのメカニズムの一つとして生物的作用が大きく寄与していることだけは判明している。元来生物反応は、温度に大きく作用されるものであるため、温度がコンポストティーの植物病へ抗菌作用に影響を与えるはずである。そこで本研究では、コンポストティーの作製温度の変化によって、コンポストティーの抗菌作用にどのような影響を与えるのかを、うどんこ病を用いて考察を行った。実験結果から、コンポストティー作製の温度は、その抗菌作用に大きく影響することが明らかになり、30-40℃の作製温度がもっともコンポストティーの抗菌作用を高めることが分った。また、温度により、別の抗菌作用が存在することも示唆された。さらに、コンポストティーからMortierella sp. とMucor sp.が分離され、それぞれにおける抗菌作用を調べたところ、それぞれともコンポストティー全体が示した抗菌作用よりも軽減されていることや、この2つの菌種の抗菌作用のメカニズムがそれぞれ異なる可能性が示唆された。コンポストティーの抗菌作用の解明については、さらなる研究が必要である。