抄録
ラン藻類により産生されるMicrocystins(MCs)は淡水環境で産生される主要な生物毒物質であり、水道水質を脅かすことが知られている。本研究では、2株のMCs(MC-RR, MC-YR, MC-LR)産生 Microcystis aeruginosaの増殖とMCs産生の抑制を電解セルで行う方法を検討した。電解セル、空気曝気、コントロールの3系で2株のM. aeruginosaの培養を8日間行い、培養中の細胞密度および細胞内と細胞外のMCs濃度の変化を測定した結果、電解セル系では2株のM. aeruginosaの増殖とMCs産生が抑制されることが判明した。電解セル系では2株の細胞密度およびMCs濃度は培養開始2日後から減少したが、空気曝気系およびコントロールでは培養期間中増加した。細胞外MCs濃度は、電解セル系、空気曝気系、コントロール間でほとんど違いは認められなかった。一方で、1細胞あたりの細胞内MCs濃度は他の2系と比較して低く、電解セル系ではMCs産生能が抑制されていることが示された。電解セル系でM. aeruginosaの増殖およびMCs産生が抑制される原因として、電解セルによる水電気分解時に発生するヒドロキシルラジカルの存在と影響が考えられた。これらの結果から、電解セルによる処理は、電解質の添加が必要無く、処理に伴う副次的な毒性物質生産無しにMCs産生ラン藻類の増殖およびMCs産生を抑制可能とする有望な水処理方法であると言える。