抄録
嫌気性消化汚泥における無機物組成を算出する計算モデルを,国内9つの下水処理場より採取した消化汚泥の組成データを用いて開発した。本モデルには熱力学平衡計算に加え,化学量論と化学反応速度学に基づく仮定と校正係数を組み込んだ。本モデル構築の過程で,(1)Ca,Mg,Feにおける第1析出固体種を各々CaHPO4,Mg(NH4)PO4・6H2O,FeCO3と決定,(2)汚泥バイオマス中のリン(P),Ca,Mg含有率を各々,汚泥強熱減量成分の1%と推定,(3)Al(OH)3へのリンの固定比率を0.05 mol-P/mol-Al(OH)3とし,(4) CaHPO4とFeCO3が各々,1次反応速度0.05 day-1と0.01 day-1で穏やかにCaCO3とFe3(PO4)2・8H2Oに固体化学変化すると仮定した。本モデルを用いて溶解性P,Ca,Mg濃度を精度よく再現できた。また,本モデルを用いて,消化槽における消化汚泥の無機組成平均値を,P(溶解性=52%,無機固体=20%),Ca(溶解性=5%,無機固体=65%),Mg(溶解性=52%,無機固体=6%)と算出した。