抄録
亜硝酸酸化細菌による亜硝酸塩の硝酸塩へ酸化は、高濃度の亜硝酸によって阻害されることが知られている。このことを定量的に表現するために、回分実験をもとに亜硝酸酸化細菌の増殖と阻害に関する動力学モデルを作成することにした。高濃度亜硝酸に急激に暴露された亜硝酸酸化細菌は、ショックによって一時的に酸素吸収速度(増殖速度)が低下した。これらの濃度が酸素吸収速度に与える影響は非拮抗阻害型あるいは拮抗阻害型のMonod式で示され、ショックからの回復には経過時間をパラメータとする項をMonod式に加えることでその応答を精度よく表現することができた。一方、亜硝酸が一定濃度以上でシステムに存在すると、亜硝酸酸化細菌は徐々に死滅(不活性化)することも長期的な培養実験によって明らかになった。これらのことから、亜硝酸酸化細菌の阻害は増殖段階と死滅段階でそれぞれ別のメカニズムによって起きると推定された。亜硝酸によって死滅が促進されることを表現するために、亜硝酸による毒性の闘値を定義し、死滅全体の反応を⑴通常の自己分解、⑵亜硝酸の毒性による失活、の2つの素プロセスの和と考えた動力学モデルを作成した。これによって、亜硝酸が125-2,000 mgN/lの幅広い条件における亜硝酸酸化の回分反応パターンを説明することができた。