抄録
集水域の植生に由来して形成されるため池水質の潜在的特徴を明らかにする目的で、比企丘陵地帯のため池群を調査した。調査ため池は、集水域の植生を地理的情報システム(GIS)ソフトウェアを用いて解析し、現場調査に基づいて5カ所選定した。それらの集水域の植生は、主に落葉広葉樹(例えば、「クヌギ」)または常緑針葉樹(例えば、「スギ」、「ヒノキ」、「アカマツ」)により構成される。調査ため池の水質は、CODMn、DOC、無機態窒素(TIN)およびChl-aは、それぞれ3.9~6.4、1.6~3.0、0.52~2.4および0.0024~0.011の濃度範囲(mg・l-1)であった。注目すべきは、NH4-N/TINの割合で比較すると、集水域の植生が落葉広葉樹の割合が40%を超えるため池は27~50%であったのに対して、常緑針葉樹が60%を超えて優占するため池では1.3~19%であった。本研究により、ため池の水質は集水域の植生に依存して形成され、NH4-N/TINは落葉広葉樹または常緑針葉樹の優占率に対する典型的な存在割合を示したものと推察された。