抄録
pH変動が淡水湖沼の微生物群集に与える影響を予測するため,既存の3つのモデル(生態系モデル,pHシミュレーションモデル,基本的な温度-pHモデル)をカップリングして新たな生態系モデルを開発,検証した。検証用データ取得実験のため,福島県猪苗代湖で採取した中性付近の湖水を酸性河川水と混合してpH6.5,5.5,4.5の水を準備した。アクリル製の透明な水槽に準備した水を入れて日のよく当たる場所に24日間設置し,その間pHとDOの連続測定を行い,植物プランクトン,動物プランクトン,バクテリアのバイオマスを実験の最初と最後に測定した。pH,DOの1時間ごとのモデル計算値は観測値とよく一致し,24日経過後の好アルカリ性種,中性種,好酸性種の植物プランクトンバイオマスの計算結果も観測結果と一致した。全アルカリ度が連続的に変化した場合,底泥呼吸を組み込んだ場合についてモデルの基本的な感度分析を行ったところ,本モデルはpHの酸性化やアルカリ化が観測されている実際の湖沼に適用可能であることが示された。