抄録
本研究では、33種類の属レベルのプローブを用いたFISH法により、活性汚泥内の細菌叢解析を行った。調査を行ったのは、5処理場9反応槽の活性汚泥である。その内訳は、A県の2処理場の2反応槽(標準活性汚泥法、オキシデーション・ディッチ法)、B県の1処理場の2反応槽(標準活性汚泥法、嫌気無酸素好気法)、C県の1処理場の1反応槽(標準活性汚泥法)、D県の1処理場の4反応槽(標準活性汚泥法、循環式硝化脱窒法、嫌気無酸素好気法、修正バーデンフォ法)である。調査の結果、以下の5点の知見が得られた。第1に、活性汚泥内の細菌叢は、Nitrospira属、Ethanoligenens属が高い占有率を示す傾向が示唆された。第2に、活性汚泥内の細菌叢は、反応槽毎に異なることが示された。第3に、同一処理場内の異なる処理方式における系列では、他の処理場の系列の細菌叢より類似していることが示唆された。第4に、リン除去細菌の存在の多寡(多少)が、細菌叢の相違に影響を与えている可能性が示唆された。第5に、処理方式が共通である様々な処理場の細菌叢を平均した標準的な細菌叢を基準にし、個々の系列の細菌叢を比較することで、その特徴を見出す手法の可能性が示唆された。FISH法を用いた属レベルでの細菌叢解析およびクラスター分析において、各系列の活性汚泥内細菌叢を比較することにより、処理場、処理方式および運転条件(SRTや処理能力)の影響によって、活性汚泥内の細菌叢が相違する可能性が示された。