抄録
海面埋立処分場の管理型区画から排出される浸出水には、アンモニア態として高濃度の窒素が含まれている。著者らのこれまでの研究では、水量を調節する調整池において滞留期間中に浸出水の窒素が低下することが明らかになっており、浸出水の窒素処理に適した硝化菌が関与していることが推察された。一方で、海面埋立処分場浸出水には塩分が含まれ、その濃度は埋立の工程で短期的にも長期的にも変化するため、本研究では揺動床を用いた連続処理槽で、堺7-3区処分場および泉大津沖処分場の2つの処分場から採取した底泥の硝化作用と浸出水の塩分濃度の関係を調べた。0.5%あるいは3.0%の塩化ナトリウムを含む合成浸出水で処理した4つの試験区では、いずれの処理槽でも速やかにアンモニア酸化が起こった。一方、亜硝酸酸化の起こるまでに要する期間は、泉大津処分場の底泥を入れた3.0%の試験区で長く、塩化ナトリウムによる阻害が確認された。