抄録
自動車塗装廃水に含まれるメラミン誘導体は活性汚泥処理後も分解されることなく残留する。残留するメラミン誘導体を処理する目的で、自動車塗装廃水よりメラミン分解菌を中性条件下または酸性条件下で1株ずつ単離し、それぞれMicrobacterium属、Rhizobium属と同定された。得られた分解菌はどちらも、メラミンを分解可能であるが、メラミン誘導体の側鎖を分解することはできなかった。活性汚泥処理済の塗装廃水にはHPLC分析結果より多種類のメラミン誘導体が確認されたが、酸処理によりほぼすべてのメラミン誘導体はメラミンへと変換されることが見出された。これにより、メラミン誘導体をメラミンに変換する酸処理とメラミンの微生物分解の組み合わせを用いたメラミン誘導体の分解が可能となった。また、酸性条件下で単離した分解菌はpH5.0付近でもメラミン分解性を保持しており、この分解菌を用いることにより酸処理・メラミン分解の同時処理が可能となった。その結果、活性汚泥処理済の自動車塗装廃水から1ステップでのメラミン誘導体の分解が実現した。