抄録
秋田県八郎湖では毎年夏季にアオコが発生しており、秋季にはMicrocystis属やAnabaena属等の藍藻が底質に沈降して越冬している。本研究では秋季に底質に沈降した藍藻類の回帰ポテンシャルを評価するために、2016年11月に湖内8地点より採取した底質試料を用いて、温度条件(10、15、20℃)を変えて回帰試験を行った。その結果、全地点の10日間におけるMicrocystis属回帰量は20℃で増加する傾向にあったが、Anabaena属では20℃における回帰がみられなかった。越冬を想定した低温処理(4℃、20週間)を底質試料に施して回帰試験を行った結果、Microcystis属とAnabaena属の回帰量は10℃より20℃で有意に増加した。また、低温処理はAnabaena属の回帰を促進し、Anabaena属の休眠細胞の発芽、回帰に冬季の低水温が重要な役割を果たすことが示唆された。本研究より、藍藻類の回帰を評価する際には、低温処理の有無や温度条件の設定が重要な検討項目となることが示された。