日本水処理生物学会誌
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通水方式と流入負荷量に着目したカラム型二段人工湿地システムの有機物及び重金属類の同時除去に対する有効性の検討
Ghaju Shrestha Rajani井上 大介池 道彦
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2022 年 58 巻 4 号 p. 137-148

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抄録

カラム型二段人工湿地(CW)システムを用い、難分解性有機物としてフェノール、ビスフェノールA(BPA)、重金属類としてクロム(Cr)とマンガン(Mn)を各々30 mg/L含む模擬浸出水の処理実験を行った。CWシステムは一段目に砂利、二段目に活性炭を基材として充填した二段CWシステムとし、ヨシ植栽の有無と通水方式(連続通水式(CF)、回分式(BF))の異なる4つのCWシステムを作製して、水理学的滞留時間(HRT)を5日から1日まで短縮させながら96日間にわたり処理を継続した。実験結果から、アンモニア態窒素(NH4-N)、Cr、Mnの高効率な除去にはHRTを長く設定する必要があることが明らかとなった。また、それらの除去能は通水方式によっても異なり、NH4-N除去率はCFで高く、Cr及びMnの除去にはBFが効果的であることが明らかとなった。他方、化学的酸素要求量とフェノールは、植栽、通水方式、及びHRTによらず優れた除去が達成され、基材の選定が重要であることが示唆された。一方、BPAの除去には、基材への吸着と、植物からの酸素供給に起因する微生物による好気分解が寄与したものと考えられた。本研究の結果から、カラム型二段人工湿地システムは難分解性有機物と重金属類による複合汚染にも対応可能であること、また、汚染物質の物性によりその除去能に対する通水方式及びHRTの影響が異なることが示された。

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© 2022 日本水処理生物学会
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