日本水処理生物学会誌
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デンプン製造副産物のコーンスチープリカーを基質として培養したEuglena gracilisからの脂質・タンパク質・パラミロンの逐次抽出の検討
Daniel Twum AmpofoRubiyatno村山 拳午森 一博遠山 忠
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2025 年 61 巻 3 号 p. 55-65

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抄録

 微細藻類の一種であるユーグレナ(Euglena gracilis)は種々の有用成分を合成して細胞内に蓄積する。それらの有用成分を余すことなく回収して有効利用することができれば、ユーグレナバイオマスの価値を最大限に引き出した新しいバイオリファイナリー技術を確立することができる。そこで、本研究は、ユーグレナ細胞から脂質、タンパク質、パラミロンの逐次的回収を可能とする新しい経済的な抽出法を検討した。本研究では、低コストの有機基質としてデンプン製造副産物であるコーンスティープリカー(CSL)を5g/Lとなるように希釈した培養液を用いてユーグレナを培養し、ユーグレナによるCSLからの栄養塩除去・回収およびバイオマス生産も評価した。5g/L CSLで7日間培養することによって、ユーグレナは培養液中の全有機炭素の50%、全窒素の51%、全リンの47%を除去し、それらを細胞内に取り込んでバイオマスを生産することが確認された。そのバイオマス生産速度は0.154 g/L/dであった。収穫したユーグレナ細胞をn-ヘキサン/エタノール混合溶媒による脂質抽出、その残渣を水酸化ナトリウム溶液によるタンパク質抽出、さらにその残渣をSDS溶液によるパラミロン抽出する逐次抽出法により、0.118 g/gの脂質、0.190 g/gのタンパク質、0.610 g/gのパラミロンが得られ、抽出効率はそれぞれ94.5%、89.1%、93.7%であった。抽出された脂質は、飽和脂肪酸(C14:0)、一価不飽和脂肪酸(C18:1)、および必須多価不飽和脂肪酸(C20:5、C22:6)が高濃度で含まれており、バイオ燃料および栄養補助食品用途への適性が示唆された。さらに、抽出されたタンパク質は、必須アミノ酸を網羅したバランスの取れたアミノ酸組成であることが明らかとなり、その高い栄養価が示された。本研究は、ユーグレナからの多有用成分を逐次抽出・回収する方法を提案・実証し、ユーグレナ用いた多用途のバイオリファイナリーの有効性を示すことができた。

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