1975 年 11 巻 2 号 p. 24-31
活性汚泥から分離したフェノール利用性酵母の一株をCandica tropicalisと同定した。この酵母は、カテコールとメチルカテコールを単独炭素源として利用するが、クレゾール、オキシ安息香酸及びプロトカテキン酸は利用出来ない。この酵母はフェノールに適応すると、クレゾールを容易に酸化出来る。m―クレゾールの酸化で生じた代謝生成物の化学構造から、その酸化経路は、p―クレゾールと同様に、ヒドロキシル化されて4―メチルテコールを生成し、更にベンゼン環のメタ開裂が起ることを示した。o―クレゾールの酸化は、カテコールを経てベンゼン環の開裂を生ずると推測された。クレゾールの酸化は、フェノールとの適応によって生成したフェノールヒドロキシラーゼと、カテコールの誘導により生じたカテコールオキシゲナーゼによって起されるものであらう。