日本水処理生物学会誌
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河川におけるFusarium菌の生態 (第2報) 河川に存在するFusarium菌の由来・増殖・生存に関する2, 3の実験
松尾 卓見荒井 和人斎藤 英毅
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1982 年 18 巻 1 号 p. 8-12

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抄録

(1) 上田市内矢出沢川の3地点で空気中から落下するFusarium菌を調査したところ, Fusarium roseum, F.solani, F.oxysporumが多く採集され, 時としてF. monili forme, F.tricinctumも採集された。しかし第1報で河川水中から採集されたF.episphaeriaは採集されなかった。河川水中のFusarium菌は空気中から落下・流入するものゝほか底石面や底泥などでの胞子形成に由来するものも含まれるが, 河川水中のF.episphaeriaは多くは底石面や底泥などで形成されたものであろう。
(2) 矢出沢川のSt.1又はSt.3の河川水に各種Fusarium菌の懸濁液を加え振とう培養 (25℃, 6日間) すると, 多少の増殖がみられた。しかし, 著しく汚染した上田市内前川の河川水では, 菌体重量は殆んど増加せず, 死滅減少を示唆するような成績がえられた。
(3) 矢出沢川河川水中に寒天付着タイル又は粗タイル片を入れ各種Fusarium菌の稀釈懸濁液を加えて室内に静置してタイル面への付置・増殖を検討した。標準として供試した殺菌水道水区は各Fusarium菌とも付着増殖が著しく多かった。しかし矢出沢川の検水区 (St.1河川水と殺菌河川水, St.3の河川水と殺菌河川水) では供試Fusarium菌の種類によって著しく変動し, 一定の傾向が認められなかった。

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