抄録
琵琶湖水を原水とする京都市の水道は、毎年、2~3期間にわたり、異臭味障害を受けている。近年の我々の研究により、かび臭の原因物質geosminと2-methylisobomeolを産生する生物として、琵琶湖では、3種類の糸状性藍藻類が重要な役割りをはたしていることが明らかになった。一方、これらの臭気物質は、通常、これら原因藍藻類の藻体内に保持されており、単に藻体をろ過除去するだけでも、臭気物質の大部分を除去できることが明らかになった。京都市水道局では、この原理を実際の浄水処理で活用し、異臭味除去に成果を上げている。