日本水処理生物学会誌
Online ISSN : 1881-0438
Print ISSN : 0910-6758
ISSN-L : 0910-6758
27 巻, 1 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 根来 健, 西川 光春, 岡山 治一, 安藤 政義
    1991 年27 巻1 号 p. 7-11
    発行日: 1991/06/03
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    琵琶湖水を原水とする京都市の水道は、毎年、2~3期間にわたり、異臭味障害を受けている。近年の我々の研究により、かび臭の原因物質geosminと2-methylisobomeolを産生する生物として、琵琶湖では、3種類の糸状性藍藻類が重要な役割りをはたしていることが明らかになった。一方、これらの臭気物質は、通常、これら原因藍藻類の藻体内に保持されており、単に藻体をろ過除去するだけでも、臭気物質の大部分を除去できることが明らかになった。京都市水道局では、この原理を実際の浄水処理で活用し、異臭味除去に成果を上げている。
  • 杉浦 則夫, 可児 良弘, 稲森 悠平, 須藤 隆一
    1991 年27 巻1 号 p. 13-19
    発行日: 1991/06/03
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    Adsorption characteristics of musty odorous compounds, 2-methylisoborneol and geosmin by activated carbons were determined. All of three carbons, charcoal activated carbon (WAC), palm activated carbon (YAC) and coal activated carbon (CAC) exhibited superior adsorption capacity of over 80 90% removal for the two odorous compounds during 2 hours. In the experiment with the adsorba bility of 2-methylisoborneol, the following result was obtained.: WAC>YAC>CAC. In the case of geosmin, the adsorbability was as follows. WAC>CAC>YAC. The carbon of WAC had the most efficient adsorbability of 2-methylisoborneol and geosmin in all the carbons, while YAC was more effective for the adsorption of 2-methylisoborneol than CAC. It was found that the adsorbabilities of the carbons for the two musty odorous compounds were closely correlated with the pore volume distribution with less than 30Å of pore radius.
  • 保坂 三継
    1991 年27 巻1 号 p. 21-31
    発行日: 1991/06/03
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    Anabaene macrosporaはわが国の水道関係機関においてはかび臭物質geosminを生産する藍藻として知られており, 本種の出現やかび臭物質産生について数多くの報告がある (根来, 1989: 根本ほか, 1984: 八木, 1989) 。一方, かび臭産生藍藻によるかび臭発生や水の華形成を予測し, また増殖防止対策を確立するためには, かび臭産生藍藻の生理学的特性に基づいてその増殖と環境因子との関係を明らかにし, その増殖機構を解明することが極めて重要である。かび臭藍藻の増殖生理に関してはこれまでPhormidium tenue (伊藤・中原, 1986: 中島・八木, 1990d: 中村, 1981: 住友ほか, 1986: 山田ほか, 1985) やOscillatoria tenuis (犬塚ほか, 1988: 保尊ほか, 1989: 中島・八木, 1990b: 中島・八木, 1990c) で比較的多く報告されている。Anabaena macrosporaについても琵琶湖から分離された株について三輪ほか (1985) , 中島・八木 (1990a, 1990d) , 住友ほか (1986) などの報告がある。しかし, 藻類プランクトンの生理学的特性は同一種であっても産地や株によって差異のあることが知られており (Watanabe et al., 1982) , 他の水域に出現するA.macrosporaについてもその生理学的特性を明らかにしておく必要がある。
    筆者は, 1987年10月に村山上貯水池 (東京都) に出現したAnabaena mucrospora (以下, A.macrosporaMYK87X) について, その培養に関する基本的条件並びに本藻の増殖に係る生理学的特性について若干の検討を行ったので, その結果を報告する。
  • 中本 信忠, 坂井 正
    1991 年27 巻1 号 p. 33-38
    発行日: 1991/06/03
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    緩速ろ過池のろ床で繁殖する糸状珪藻メロシラはろ過閉塞を防止する働きをした。真綿状に発達した藻類被膜は流入懸濁物質を捕捉し, 光合成により発生する気泡の浮力により剥離浮上し, 越流管から流出することから, ろ過池は糸状藻類の連続培養系であった。また従来は連続培養状態に注目していないことを指摘し, 水位調節することにより浮上した藻類被膜を排出するための越流管の重要性を強調した。さらにろ過閉塞の指標である緩速ろ過池の損失水頭の取扱について欧米と比べ考察した。
  • 橋本 奨, 岩堀 恵祐
    1991 年27 巻1 号 p. 39-45
    発行日: 1991/06/03
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    ケイ酸カルシウム水和物であるXonotliteの曝気槽連続供給による活性汚泥の固定化効果について検討し, 次の知見が得られた。
    (1) 供試活性汚泥のフロック径は30~100μmであったが, X物質含有合成下水の連続供給により, そのフロック径は徐々に増加し, 約3週間後には500~1000μmの活性汚泥フロックになった。X物質は, 架橋剤の役割を果たし, 活性汚泥の結合固定化を促進できることが明らかとなった。
    (2) 活性汚泥中のX物質蓄積量を推定する式を導出して実験成績に適用したところ, 活性汚泥滞留時間tsとX物質流入量Xsの設定が極めて重要であることがわかった。
    (3) 流入SS成分を有機・無機の各成分に分け, 両成分ごとの物質収支による活性汚泥法動力学理論の構築とこれに基づいた実験的検討から, 活性汚泥に及ぼす流入無機成分の影響を評価することが重要な課題であることを考察した。
  • パックブンに含まれるペルオキシダーゼについて
    古川 憲治, 橋本 奨
    1991 年27 巻1 号 p. 47-52
    発行日: 1991/06/03
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    『水耕栽培型水処理法』に使用している東南アジアの水生野菜パックブンにはペルオキシダーゼが高い活性で含有されていることを明らかにした。水道水を用いた簡単な抽出操作でパックブン細胞に含有されるペルオキシダーゼの約59%を回収することができた。抽出したペルオキシダーゼの粗酵素抽出液は低温下での保存・安定性に優れていた。パックブン・ペルオキシダーゼは西洋ワサビやカビPenicularia filamentosaのペルオキシダーゼとは基質特異性の点で若干異なっていることが明らかになった。『水耕栽培型水処理法』の副産物として連続収穫できるパックブンをペルオキシダーゼの抽出材料として有効利用できる可能性を示した。
  • 古川 憲治, 橋本 奨
    1991 年27 巻1 号 p. 53-57
    発行日: 1991/06/03
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    パックブンの節部を2倍希釈の修正MS寒天培地上で脱分化 (カルス化) させることによって, ペルオキシダーゼ活性が根部のペルオキシダーゼ活性の7~20倍にも高まるばかりか, 植え継ぎを重ねてもその活性の低下しないことを明らかにした。
    パックブン・カルスを1/2MS (0.1, 0.5, 1.0) 寒天培地上で培養した際の最大のペルオキシダーゼ活性 (7, 000U/g-乾重) は, 対数増殖期で得られること, 又, パックブン細胞の1/2MS (0.2, 1.0, 0.5) 培地を用いた液体培養における最適植種濃度は1~2g/Lで, 最大のペルオキシダーゼ活性 (13, 000U/g-乾重) は減衰期で得られることが判った。
  • 藤田 正憲, 池 道彦, 岡田 博, 森 一博
    1991 年27 巻1 号 p. 59-65
    発行日: 1991/06/03
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
  • 古川 憲治, 中川 雅世, 藤田 正憲, 玉井 元治
    1991 年27 巻1 号 p. 67-75
    発行日: 1991/06/03
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    多孔性コンクリーブロックを充填した水路による汚濁河川水の直接浄化の可能性につき, パイロットプラントを用いて実験的に検討し, 次の結論を得た。
    (1) 中性化した多孔性コンクリートブロックを使用しないと, 多孔性コンクリートブロックから溶出するアルカリ分によって, 充填材や水路壁面への生物の付着が妨げられる。
    (2) 多孔性コンクリートブロックを水路に充填することにより, 藻類の付着面積が増えることから, 藻類の光合成による酸素供給量が増加し, TOC濃度が25mg/L以下の河川水であれば, 水路を酸素不足にならぬ状態で運転することが可能であった。
    (3) 水路のTOC容積負荷量が80mg/L・日以下で, TOCを約70%の効率で除去できること, TOC濃度が25mg/L以下の河川水であれば水路のTOC容積負荷量を30mg/L・日以下にとることによって3-4mg/L程度にまで処理できることが明かとなった。
    (4) 水路では硝化反応を殆ど期待することが出来ないことから, 水路処理においては生物膜の形成に使われる窒素分しか除去されなかった。一方, 燐は多孔性コンクリートブロックから溶出するCa2+の効果も手伝って50%もの効率で除去された。
    (5) 多孔性コンクリートブロックを水路に充填することによって, SS成分が効果的に捕捉されるので, 水路の処理能力が大幅に向上すると共に, 水路汚泥の平均滞留時間が長くなり, 発生する汚泥の見かけの収率が低下した。発生した汚泥中には, Geotrichumsp., Beggiatoasp.の糸状菌, Rotariasp., Diplogastersp., Paramecium caudatum等の原生動物が優占的に出現した。
  • 杉浦 則夫, 稲森 悠平, 須藤 隆一
    1991 年27 巻1 号 p. 77-82
    発行日: 1991/06/03
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    生物膜法の一種である接触曝気型生物酸化法のミニプラント装置をもちいて, 1985年 (4月) ~1988年 (7月) のほぼ3年間, 霞ケ浦の水質改善に検討を加えた。
    処理対象とした濁度, 臭気, 藻類総細胞数, Microcysiisの各パラメータはいずれも効果的に除去され, 平均除去率は60%以上となった。生物処理によりpH値は緩衝され, 変動幅が減少した。藻類由来の濁質成分の除去効果は, 生物膜中の微小動物類の個体数と密接な関係にあり, また微小動物類の個体数は水温の低下と伴に増加が認められた。
  • II..迅速同定法の簡易化について
    北原 節子, 尾藤 朋子
    1991 年27 巻1 号 p. 83-88
    発行日: 1991/06/03
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
  • 明賀 春樹, 浅野 英之, 浅野 宗光, 鳥尾 屋守
    1991 年27 巻1 号 p. 89-94
    発行日: 1991/06/03
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
  • 竹内 準一, 竹内 雅子
    1991 年27 巻1 号 p. 95-105
    発行日: 1991/06/03
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    Nitrate is of significance in aquatic environments, being a possible substrate both for dissimilatory ammonification and denitrification. In this report, amain attention has been focused on the endproducts of nitrare/nitrite dissimilation by bacterial isolates from river water and sewage related samples.50-60% of the isolates accumulated NO2-from NO3-; i.e, nitrate-reducing bacteria predominated in raw sewage and polluted river watersamples.4-26% of the isolates produced N2gasfrom NO3-; i. e., denitrifying bacteria predominatedin settling sewge which was contaminated by activated sludge.2-4% of the isolates produced N2 gas from NO2-, but not from NO3-; i.e., the NO2-depending denitrifiers. About 5 times larger numbers of denitrifying bacteria were detected by using Nitrate broth than by using Giltay broth. Thisresult is considered to be an evidence that the Nitrate broth supports the growth of wide variety ofdenitrifying species of bacteria. Most of the denitrifying isolates were belong to the genera Pseudomonasand A Icaligenes.The ammonifying groups of bacteria were the following fermentators: A eromonas, Klebsiella, EscherichiaandVibrio-like. Afew of theAeromonasisolates could produced gas both in the Nitrate broth and the OF test ager.
  • 国府島 泉
    1991 年27 巻1 号 p. 107-110
    発行日: 1991/06/03
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    Azide citrate (AC) 寒天培地を用いたメンブランフィルター法 (AC・MF法) により河川水, 海水10試料から分離された腸球菌100株の菌種分類を行ったところ, E.faeciumが57株 (57.0%) , E.faecalisが33株 (33.0%) , E.duransが4株 (4.0%) であった。
    昆虫由来であるといわれる牛乳カゼインのペプトン化能を有するE.faecalisは, 糞便汚染が著しい環境水から多く検出され, ヒト糞便中の腸球菌の20.3%を占めており, 本菌の由来は人蓄糞便であると考えられた。
  • 杉浦 則夫, 稲森 悠平, 須藤 隆一, 美誉 志康
    1991 年27 巻1 号 p. 111-116
    発行日: 1991/06/03
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    鞭毛虫類Monas guttulaによる藍藻Microcystis aeruginosaの捕食・分解に及ぼす物理化学的因子の影響に検討を加え以下の成果を得た。
    M.guttulaの培養液として霞ケ浦湖水のpH調整に際して用いたリン酸緩衝液のモル濃度は、pH変動および増殖阻害の小さい1/750Mが適していた。M.guttulaによるM.aeruginosaの捕食・分解には広範囲のpH6.0~9.0が適し、とくに中性の7.0が最適であり、温度は30℃が最も効果的であった。M.aeruginosaを食物源とするM.guttulaの活性化エネルギーは8300cal/moleであったことから、この鞭毛虫類はエネルギー的に効率よく捕食・分解作用を行うことができるものと判断された。霞ケ浦に於ける秋季のpH8.0~8.5、温度20~25℃の条件は、M.guttulaにとってM.aeruginosaを捕食し、分解するのに適していた。
  • 前田 秋一
    1991 年27 巻1 号 p. 117-121
    発行日: 1991/06/03
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
  • 根来 健一郎, 後藤 實, 成宮 瞳
    1991 年27 巻1 号 p. 123-129
    発行日: 1991/06/03
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
    The River Amano (Amano-gawa), located in the eastern side of Lake Biwa, is about 20 km in its total length along the axis. It takes its source from two limestone-mountains, Ryozen (1084 m above the sea) and Ibuki (1377m above the sea), and flows into Lake Biwa. Its water is rich in lime (Ca 30-43mg/1), alkaline (pH 8.1-8.4), and has the pretty high electric conductivity (180-254 μs/cm) .
    The diatom flora of the River Amano is composed of 54 forms belonging to 20 genera and the diatom communities at five selected stations of the river are as mentioned below;
    St. 1Diatoms vulgarevar.products-Cymbella turgidulavar, nipponica-Gomphonema quadripuctatum-Association
    St.2*Cyclotella socialis-Fragilaria construens var, binodis-Cymbella leptoceros-Association
    St.3Diatoms vutgarevar.products-Navicula capitatoradiata-Cocconeis placentula var. euglypta-Association
    St.4Navicula capitatoradiata-Cymbella turgidula var. nipponica-Diatoma vulgare var. producta-Association
    St. 5Cocconeis placentula var.euglypta-Nitzschia pales-Diatoms vulgare var. products- Association
    (*Station 2 is a spring and its flow near the proper cource of the river)
  • 落合 照雄
    1991 年27 巻1 号 p. 131-137
    発行日: 1991/06/03
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
  • 福島 博, 小林 艶子, 栗原 美香, 大塚 晴江
    1991 年27 巻1 号 p. 139-162
    発行日: 1991/06/03
    公開日: 2010/02/26
    ジャーナル フリー
feedback
Top