紙パ技協誌
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パルプ特集
KP工場における水の有効利用について
塚本 祐司
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キーワード: U3用水, F1KP製造一般
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2004 年 58 巻 7 号 p. 910-916

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抄録

用水型産業と言われる製紙工場では,大量の用水を必要とするため,一般的に利水条件の良い場所に位置する工場が多く,河川水や湖沼水などの地表水を用水の水源としているのが一般的である。地表水は,大水量を確保できるメリットがある反面,渇水期には取水量が制限されること,増水時には濁質が多くなること,季節による水温変化が大きいことなどの問題を抱える。
近年,製紙工場を取り巻く水事情は,国内工場集約化などの動きから残る工場は増産の方向にあり,古紙需用の拡大も手伝い,総じて厳しい方向に向かっている。利水条件に余裕のあることが増産計画の前提となるため,各工場にとって用水原単位を低減することは重要なテーマとなりつつある。そのために節水対策を進める必要があることは言うまでもないが,従来きれいな水を利用していたプロセスで,循環水や中水を処理して再利用した場合,従来の運転と比較して大なり小なりの弊害を伴うことは避けられない。製品の質や生産効率が落ちるような節水対策では検討の余地は無いが,再利用先での維持管理面の強化や回収水設備の導入でこれらが維持できるのであれば,その節水対策は十分検討に値するものであろう。
弊社では,節水検討を目的に,クラフトパルプ工場全体を対象とした水バランス調査を,過去に国内2工場について実施した。本稿ではこれら調査結果を元に,KP工場排水の特徴と有効利用のポイントについて紹介する。

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© 2004 紙パルプ技術協会
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