紙パ技協誌
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省エネルギー特集 I
活性汚泥槽の曝気方式変更による省電例
―新型散気管採用事例―
山本 孝士谷口 雅彦
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2005 年 59 巻 5 号 p. 688-693

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抄録

王子製紙 (株) 日南工場の排水処理には微生物処理を行う「活性汚泥装置」が採用されている。これは製紙工程の排水処理として, 排水中に空気 (酸素) を吹きこみ, 汚泥槽の微生物を活性化させ排水中のCODを除去する設備である。当工場では6基の汚泥槽が設置されているが, 改造前は水を撹拌する水中エアレーター方式であった。これは槽内でローターを回転させ, ブロワーで送り込んだ空気と排水を混合させる方式である。この方式は水の撹拌に多大な電力を使用していた。また同方式は酸素溶解効率が15%程度と低いこと, さらに水中で運転しているため故障すると電気関係の破損が著しく修理費が高い等の問題があった。
当工場ではこれらの問題解決のため, 他社の排水プラントで実績があり, 好結果の得られているEDI社の「散気管方式」を採用した。これはブロワーで加圧した空気を多数の細かなスリット状の穴から排水中に混入させる方式である。この採用により水の撹拌動力が不要となり, 従来撹拌に使用していた設備電力約240 kWの省電が可能となった。また工事後の溶存酸素も若干良くなった。
今回, その採用内容と工事時の注意点について報告する。

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