紙パ技協誌
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省エネルギー特集 I
バイオガスを利用した高効率ガスエンジンの紹介
後藤 悟
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キーワード: U2省エネルギー, U7電気
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2005 年 59 巻 5 号 p. 681-687

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抄録

バイオガスとか廃棄物の熱分解により得られる可燃ガスを燃料とする高効率ガスエンジンの開発は, エネルギー資源の有効利用という意義があるため重要な開発と位置付けられる。バイオガスは嫌気性微生物が有機物を分解するときに発生する。その成分として, CH4とCO2が各々60%と40%程度含まれる。真発熱量 (以下発熱量と記す) は約21 MJ/m3Nである。熱分解ガスは, ガス変換方式および廃棄物の種類・性状, 並びにプラント運転条件の違いにより, その組成や発熱量が異なる。代表的な例は, CO, H2およびCO2が各々30~35 vol%含まれ, 発熱量は約7.5 MJ/m3Nである。CO2は消火剤として用いられるように燃焼の抑制効果を与える。このため, 着火の確実性と火炎伝播時間の短縮が, CO2を含むこれらの燃料ガスを確実に燃焼させるために克服すべき技術課題となる。
点火用にごく微量の燃料油を用いる新しい燃焼技術“パイロット油着火方式”が提案されている。この方式は, 点火エネルギーが燃料ガスの発熱量変化に合わせて最適な燃焼状態を得るように調整でき, 且つそのエネルギー量を火花点火の数千倍にできるなどの利点を有する。
新潟原動機株式会社は, 正味平均有効圧力 (BMEPと略す) 2.0 MPa, 発電効率が40%を上回る高出力, 高効率の新型ガスエンジン「22 AG」を開発した。このエンジンは上記マイクロパイロット着火方式を採用している。ここでは, マイクロパイロット着火方式による低カロリーガス燃料の燃焼試験の結果および, バイオガスとか廃棄物由来熱分解ガスを燃料とした発電エンジンの実例を報告する。

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© 2005 紙パルプ技術協会
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