紙パ技協誌
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製紙技術特集 I
塗工技術概論
大篭 幸治
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2006 年 60 巻 12 号 p. 1776-1785

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抄録

日本における塗工紙の生産量は年々増加傾向にあり,非塗工紙および新聞用紙の生産量の伸びと比較して,顕著である。塗工紙の消費は,北米,ヨーロッパ,アジア等,全世界的に伸び続けており,地域差はあるが,今後もこの傾向は持続されると予測されている。また,塗工紙の低坪量化の動きは顕著である。
年々増加してきた需要に対応するために,実機操業速度は1965年当時600m/minであったのに対して,2006年現在で約2,000m/minに迫り,3倍以上になっている。また,広幅化の傾向も顕著で,近年導入されているコーターの幅は8m以上が主流になっている。
高速化,広幅化,低坪量化,高品質化等に対応するために,塗工設備の技術革新に加え,塗工層を構成する顔料,ラテックス,澱粉,助剤等の材料の高性能化,塗工紙製造時の現象解析等に関する研究が進められてきた。近年,カーテン塗工,スプレー塗工等の塗工時原紙への付加が少なく,原紙被覆性が相対的に良好とされる低負荷塗工方式(Low Impact Coating)に注目が集まってきている。今後もこれらの動向に注目していきたい。

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© 2006 紙パルプ技術協会
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