抄録
従来のFoundation Fieldbus(以下,フィールドバス)システムは,専用の通信カードを実装可能なDCSを必要とするため,導入事例は新規のシステムに限られていた。そのため「導入コストが高い,システム立ち上げに必要な段取りが不透明,メーカ技術員の不足」などの問題点を抱えていた。本来の特徴である「マルチベンダ(対応機器であればメーカを問わず),プラグインディスプレイ(割付作業の簡素化),高信頼性(機器単体での制御確立)」と相反しているため,制御システムに依存しない構成を開発し,巻き返しを推進している。
そういった流れの中で,2004年7月に「安価で誰もが扱えるフィールドバスの確立」を目指し,当時全く採用事例のない「汎用パソコン(以下PC)+Ethernet+SLD(リンキングデバイス)+フィールド機器(制御は個々で行う)」という構成で排水嫌気性設備の新設プラントに設置した。本格稼働に無事漕ぎ着けることが出来たので,今日まで得られた知見と今後の展開について報告する。