紙パ技協誌
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研究報文
ESCAによる水性グラビアインキの塗工紙への浸透性評価法の検討
尾崎 靖内田 道治
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2006 年 60 巻 7 号 p. 1061-1069

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抄録

ESCAにより塗工紙へのインキ浸透を解析した。相対強度(Si2p/C1s)と相対強度(Cu2p/C1s)がESCAによって測定された。相対強度(Cu2p/C1s)はインキ顔料の露出率として表し,相対強度(Si2p/C1s)はインキが塗工紙を被覆した割合として表した。相対強度(Si2p/C1s)はインキ転移面積の増加によって減少し,最低値で一定となった。相対強度(Si2p/C1s)が一定になった領域では,インキが塗工紙のほとんどを被覆していた。この領域の相対強度(Si2p/C1s)は,ほぼインキビヒクルに対するインキ顔料の露出率を表した。
細孔の多い塗工紙に印刷した試料の相対強度(Cu2p/C1s)は高かった。グラビア印刷物のインキ顔料の露出率はブリストー法による同じ紙の吸液性と相関があった。
塗工紙への水性グラビアインキの浸透性がESCAにより得られた相対強度(Cu2p/C1s)から評価できることが分かった。この手法はグラビア印刷物に直接適応された。

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© 2006 紙パルプ技術協会
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