紙パ技協誌
Online ISSN : 1881-1000
Print ISSN : 0022-815X
ISSN-L : 0022-815X
パルプ特集
低品質古紙の利用拡大と求められる技術的な対応
金澤 毅
著者情報
キーワード: G2離解, G3除塵, G4脱インキ
ジャーナル フリー

2006 年 60 巻 7 号 p. 995-1004

詳細
抄録

環境,エネルギーに関する世界的な対策の一環として日本製紙業界では古紙利用率の向上を強力に推し進めてきた。更に最近では,中国での製紙生産量の急激な伸びに伴い原料古紙の確保競争といった状況も見られるようになって来た。このような状況下においては,今までよりも品質の低い古紙の利用技術の確立が重要な課題となってきている。
本稿では,洋紙用低品質古紙として,混入異物の種類や量の多い原料,難脱墨印刷やUV加工などの多い原料,例えば上質系雑誌や下級雑誌の混合物,MOWなどを想定して,その利用拡大に際しての技術的な課題と対策について検討を行った。特に,(1)パルパー以降に異物を持ち込まないパルピング,(2)UV,トナー印刷等に起因する色チリ,黒チリ,(3)粘着物の混入量増加問題,(4)原料種類の不安定に起因する灰分,白色度の変動を四大課題としてその具体的な対策案を報告する。また板紙用低品質古紙として,従来は焼却処分していた難処理古紙(耐水,耐湿,ラミネート,硬質ボード)や使用済み紙管を想定して,実際操業例を報告する。

著者関連情報
© 2006 紙パルプ技術協会
前の記事 次の記事
feedback
Top