塗工紙の正反射光沢度測定による印刷光沢と視感による印刷光沢では位置付けを異にする場合がある。我々は,視感印刷光沢を鮮映感と光沢感に分けて検討した。鮮映感は,正反射光沢度と相関が高く,従って印刷表面の粗さと非常に相関の高いことが分かった。一方,光沢感と正反射光沢度との相関は鮮映感ほど高くはなく,印刷表面がより平滑であるにも関わらず光沢感の低い塗工紙も見受けられた。そこで,これらへの,特に光沢感への拡散反射光の影響を,三次元変角光沢計を用いて検討した。その結果,拡散反射光が強いほど光沢感は低下する傾向にあることが分かり,更に,偏光を使用して測定した内部拡散反射光強度と光沢感は,極めて強い逆相関の関係にあることが分った。インキセットの遅い塗工紙は視感印刷光沢が良好であるが,インキのスプリットパターンを小さくして印刷表面を平滑にする効果もさることながら,表面のインキ層が厚くなって内部拡散反射光強度が小さくなる効果もあると考えられる。