紙パ技協誌
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総説・資料
光ファイバを用いた耐環境型水分センサ
中濃 礼二郎小島 幹郎
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2006 年 60 巻 8 号 p. 1187-1192

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抄録

既に多くのマシンで導入がすすんでいるCD(幅方向)水分アクチュエータは,一部の上質紙でサイズ塗工前の水分プロファイルから制御されているが,ほとんどの場合リール前で測定された水分プロファイルから制御されている。しかし近年になってプレス出口においてフラットな水分プロファイルを得たいとする傾向が強く,実際にいくつかの工場ではCD水分プロファイルを制御するためにプレス後にスキャニングする水分計を取り付け始めている。この理由としては,均一で安定したプレスの運転を確保したいこと,CD水分プロファイル変動の原因をプレスからか,あるいはドライヤからの要因かを区別すること,そしてプレス出口での幅方向に均一なシートを生産することである。
MD(流れ方向)水分についても,プレスセクションにおける脱水は,蒸気加熱によるドライヤと比較して相対的に低コストである。プレスにおいて水分1%の脱水を上げると,約4%の蒸気使用量の削減につながり,水の蒸発による脱水より機械的な脱水がより経済的であることがわかる。このためプレスによる脱水効率を最大限に引き出す方法が常に探求され,プレスにおける実際の水分測定がプレスの最適化を担う重要な要素となっている。
光ファイバを使用した水分センサは,CDとMD両方について高精度で信頼性の高い水分測定をウエットプレスからドライヤ内まであらゆるグレードの紙について可能とし,低水分から高水分まで広い測定レンジを持っている。この新世代水分センサは,光源とこれを紙面へ照射するための光ファイバ及び紙面からの反射光を受ける光ファイバと2つの検出器によって構成される。光源と検出器を含む電子機器はすべてマシンの外側に配置され,高い信頼性と長寿命及び保守性を考慮した設計となっている。本稿ではハネウェルが新しく開発した水分センサとそのアプリケーションについて紹介する。

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© 2006 紙パルプ技術協会
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