紙パ技協誌
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総説・資料
新しい外添薬剤による製紙工程の問題解決(II)
―平板試料ゼータ電位の測定による外添型デポジットコントロール剤特性の解析―
安藤 嘉浩
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2006 年 60 巻 9 号 p. 1332-1341

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抄録

近年,紙・板紙の品質向上における製紙薬剤の役割はますます重要になっており,特にデポジットコントロール剤などの工程薬剤が需要を伸ばしている。外添型デポジットコントロール剤の特長は,ワイヤーやフェルトなどから移行した薬剤でパルプシート表面近傍のデポジットを選択的に処理することなどにより効率的にデポジット問題の解決を図る点にある。「スパノール」など弊社製外添型デポジットコントロール剤をワイヤーやフェルト,ロールなどに外添することで,ウエットエンドで発生するデポジット問題を大幅に低減することが可能となる。さらに「スパノール」が抄紙用具の表面を親水性に改質するという特性から,フェルト馴染み性や搾水性などを向上させる効果も副次的に得られる。
本報では,外添型非イオン性デポジットコントロール剤「スパノールN―3250」による表面改質特性に関して,平板試料の表面ゼータ電位を測定するというユニークな手法を用いて解析した結果,抄紙用具材質である疎水性樹脂の表面に「スパノールN―3250」が速やかに親水性の吸着膜を形成することが確認されたことなどを報告する。
また,炭酸カルシウムとスティッキーなどが複合したデポジットがフェルトを汚し目詰まらせている事例が散見される現状に対応し,「スパノールN―3250」のコンセプトを維持しながら炭酸カルシウムに対する優れた分散性も示す,新しい外添型デポジットコントロール剤「スパノールN―3253」についても併せて紹介する。

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© 2006 紙パルプ技術協会
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