紙パ技協誌
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総説・資料
歩留剤ナノクラスターディスパージョン(ND)ポリマーの特徴とその作用機構
山口 佳也大原 工
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2006 年 60 巻 9 号 p. 1324-1331

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抄録

近年,古紙配合比率の向上による製紙原料中の微細繊維の増加,填料として微粒な炭酸カルシウムの使用比率が高まることにより,歩留りを維持,向上するには高分子量を有する歩留向上剤が必要とされる。しかし,高分子量の歩留向上剤を使用すると過大なフロックを形成,紙品質(地合い性)が悪化することが懸念される。
従来から当社は,ポリマー粒子を特殊技術により水に分散させて得られる高濃度液状品ディスパージョンポリマー(ハイモロックDRシリーズ)を開発,歩留向上剤・濾水性向上剤として上市してきた。このディスパージョン技術を応用して,ポリマーの構造制御を行ない,ナノクラスターディスパージョン(ND)ポリマーを開発した。
このポリマーは,重合中に形成される高分子が結晶核或いはクラスター構造を有するため,水中で粒子挙動を示す。そのため,パルプスラリーに迅速に分散,応力偏差の小さい,緻密で強固なフロック,均一な地合いを形成する。特に高速マシンで微細繊維や炭酸カルシウムを多く含む中性紙や新聞用紙でその特徴が発揮できると考えられる。
今回,ナノクラスターディスパージョンポリマーの粒子性を検証したので報告する。

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© 2006 紙パルプ技術協会
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