紙パ技協誌
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総説・資料
過酸化水素と金属錯体触媒を利用したpH中性付近における新規パルプ処理法の開発
下山 竜吾國定 裕司岡 孝
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2008 年 62 巻 6 号 p. 686-693

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抄録

過酸化水素は,環境的に非常にクリーンであり,比較的安価で取り扱いが容易な酸化剤であり,パルプ用の漂白剤としても多用されている。しかしながら,塩素系漂白剤に比べると酸化力が劣るため,その使用条件は限られてきた。そこで,漂白活性化剤や金属錯体触媒により過酸化水素を活性化して酸化力を高める研究が行われている。
そこで我々は,金属錯体触媒による過酸化水素の活性化法をDIP製造工程に応用することにより,新規パルプ処理法の開発を試みた。その結果,インキ剥離が促進されて残留インキ面積率が減少することが分かり,我々はこのような金属錯体を脱墨触媒と呼ぶこととした。この脱墨触媒による方法を用いることで,アルカリ使用量を削減し,粘着異物対策に応用できる可能性を示した。
今回,我々は,DIP用脱墨触媒の開発経緯と粘着異物対策,及び,インキ剥離促進効果の作用機構について報告する。

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© 2008 紙パルプ技術協会
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