日本製紙(株)ではクラフトパルプ化の薬品回収工程である苛性化工程で副生する炭酸カルシウム(ライムマッド)を「苛性化軽カル」と呼び,製紙用材料として利用している。このライムマッドを填料・塗工顔料として利用することで,キルンでの重油使用量の削減が可能となる。
本講演では苛性化軽カルの概要について述べた後に,苛性化軽カルの白色度と,これに大きな影響を与える緑液清澄化の関係について紹介する。次いで粉砕処理による填料・塗工顔料製造,高品質化を目的とした形態制御技術について述べる。
また,苛性化軽カル利用に伴うメリットであるキルン重油使用量削減効果について報告する。さらに近年,苛性化工程で問題となっているノンプロセスエレメントが,苛性化軽カル利用によって大幅に除去できることから,その効果について報告する。最後に経済面・環境面から苛性化軽カル技術のメリット・デメリットをまとめ,本技術の将来的な可能性について述べる。