紙パ技協誌
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総説・資料
カーボンロールへの溶射技術及び製紙分野への適用事例
永井 正也重村 貞人葭谷 明彦山中 正信
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2011 年 65 巻 11 号 p. 1142-1146

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抄録
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製ロールはカーボンロールと呼ばれ,金属製ロールと比較して,軽量,低慣性モーメント,高剛性等の優れた特性を持つことから,近年ではフィルム製造,製紙,印刷業界等の各種産業分野に適用が広がっている。特に製紙分野では近年,生産性向上,コスト削減を目的として,製造ライン速度の高速化,抄紙サイズの幅広化が進められている。これに伴ってラインを構成している各種ロールにおいては,軽量化,高剛性化,小径化が求められている。
しかし,カーボンロール表面は耐摩耗性,搬送ウェブとの摺動特性などからCFRPそのままで使用されることは殆どない。我々は長年に亘る研究開発の結果,溶射プロセスによるカーボンロール表面への各種材料の被覆技術を確立した。これら溶射カーボンロールは各種産業界で非常に高いロール性能,表面性能を必要とされる部位に適用されつつある。
本稿ではカーボンロールへの溶射技術とワインダーマシンのセクショナルロールに軽量,高剛性のCFRPをシェル基材とし,ロール表面に耐摩耗性,グリッピング特性を与えるWCサーメット溶射皮膜を施したカーボンロールを適用した事例について報告する。
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© 2011 紙パルプ技術協会
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