紙パ技協誌
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省エネルギー特集 I
パルプ洗浄工程及び黒液濃縮工程の改善による省エネルギーへの取り組み
永尾 伸尚斉藤 賀裕
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2011 年 65 巻 6 号 p. 566-569

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抄録

本報告では,以下に示したパルプ製造設備における洗浄工程の洗浄液流量制御改善による黒液濃度アップと,黒液濃縮工程(VE工程)の詰りによる能力低下の防止の2つの取り組みについて述べる。
1) パルプ洗浄工程の改善
VE工程で黒液濃縮に要する蒸気使用量の削減を図るためには,濃縮前の黒液濃度を少しでも上げることが重要となる。この黒液濃度を上げるためには,当然ながらパルプ洗浄工程で使用する洗浄液量を小さくすることが必須であるが,洗浄液量を小さくするとパルプ洗浄度の悪化をもたらす方向となる。そこで,現状の洗浄度を維持させながら,黒液濃度をアップさせるための課題を抽出し,洗浄液流量の制御を従来のフィードバック制御による制御からフィードフォワード制御を中心とした制御に変更した結果,黒液濃度アップを図ることができた。
2) 黒液濃縮工程(VE工程)の改善
VE工程は,従来から5~7ヶ月間の連続操業において,エレメント汚れや詰り等による黒液濃縮能力の低下が問題となっており,定修毎の点検,洗浄を実施してきた。特に平成22年2月頃,VE工程の黒液濃縮能力が低下してパルプ生産量にまで影響する問題が発生したことから,更なる対策が急務となった。運転状況や開放点検結果から,
(1) 中間黒液濃度上限値を55%に設定
(2) 詰り防止シャワーの設置
の対策を実施し,効果が現れた。

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© 2011 紙パルプ技術協会
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