紙パ技協誌
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総説・資料
特許行政の最近の動向
冨士 良宏
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キーワード: Z0その他
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2012 年 66 巻 5 号 p. 503-513

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抄録

本稿は,2012年2月に開催された紙パルプ技術協会(TAPPI)と日本国特許庁(JPO)との年次意見交換会における著者のプレゼンテーションを基に,日本の特許出願・審査の現状,世界の特許出願動向,JPOによる出願人の多様なニーズへの対応,とりわけグローバル化した知財活動を支援するための施策といった「特許行政の最近の動向」について簡単に紹介するものである。
日本人による日本での特許出願は,2000年代後半に減少している。しかしながら,研究開発費用は徐々に増えており,日本の出願人は,景気停滞にもかかわらず,新技術の開発に力を入れているように見える。さらに,日本の出願人によるグローバル出願率やPCT出願は増えてきており,視点が世界市場に向けられてきているように思われる。
JPOは,出願人の多様なニーズを満たすために様々な施策を実施しているが,このようなグルーバル化を背景に,特に国際競争力向上のための支援策に力を入れている。2006年には米国特許商標庁(USPTO)と特許審査ハイウェイ(PPH)を開始したが,そのネットワークを2012年2月までに19カ国・機関にまで拡げてきた。そして,日本の出願人が,国際的に安定した権利を迅速に取得できるように,国際知財戦略を提唱しているところである。
本稿を参考として,TAPPIメンバーが,より良い知財戦略の策定と国際競争力の強化を図ることを期待したい。

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© 2012 紙パルプ技術協会
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